新しく観てみた。 16-2
・D.C.II S.S. 〜ダ・カーポII セカンドシーズン〜
第5話 「失望の雪原」
第6話 「桜迷宮」
第7話 「変えられない夢」
第8話 「さくらんぼとお兄ちゃん」
第9話 「壊れゆく春」
第10話 「夢の終わり」
例えば、冬のある日。
楽しい旅行の計画を立てる。
いつもとは違うわくわく。
日常から、少しだけ非日常へと、切り替わる瞬間。
笑顔になれる瞬間。
きっと楽しいはずの未来を想像して、話はいつまでも尽きなくて、予定はいつまでも決まらないけど、それが楽しい。
そんな幸せの一時も、今は、遠い昔のように。
昔々、それはずっと遠い昔のこと。
桜の花が枯れた時の事。
たくさんの事があった。
楽しい事も、辛い事も、笑った事も、泣いた事も、遠い思い出。
思い。
たくさんの思いが積み重なって、桜の木は、再びその枝に薄紅色の花をつける。
春の訪れ。
それはきっと、希望の光。
でも、今の僕には、何も見えなくて。
見たい世界があった。
望んだ日常があった。
選びたい未来があった。
でも、現実はどこまでも現実のままで。
それは、最初からわかっていたこと。
それでも、やっぱり夢を見たくて、見続けたくて、僕はただ、起こり得ない奇跡を待ち望むように、日常の中に、没頭していった。
夢から覚めようとしている。
あの日、粉雪と桜の花びらが舞い散る中で見始めた夢。
僕の夢。
その夢は、きっと間違っているって気づいていた。
それでも、僕は…
「こんばんは。」
「?」
「はじめまして。
桜内義之。」
「?」
「君の名前だよ?」
「桜内、義之…」
「おじいちゃん。
桜さん…」
桜が舞っていた。
幕を引いたはずの世界の中で。
夢が終わらない。
舞ってはいけない桜が、様々な感情と一緒に渦巻く。
僕はただ、呆然とその風景を見続ける事しか、出来なかった。
「親ってのは、子供より先に死ぬもんだ。
だけど、もしもの時は、わかるね?」
今この辺。
観た覚書 109日目